衝撃のボイコット。~ドイツでも抗えない国際競争の波~
あなたは、ドルトムントの熱狂的な
サポーターをご存知だろうか?
ドルトムントのホームスタジアムである
ジグナル・イドゥナ・パルクは
約8万人ものサポーターを収容でき、
特にホーム側のゴール裏は、2万2千人を
収容し、サポーターの熱い声援で
相手チームをも驚異を与える。
14/15シーズンには
欧州一の観客動員数を誇るチームとして
知られ、益々ファンが増加している。
また、ドルトムントの南スタンドは
『黄色い壁』と呼ばれ、ヨーロッパの
どのチームよりも騒がしく、スタジアムを
揺るがすほどの大歓声で選手達を
鼓舞します。
そんなドルトムントで
ドイツ全土を震撼させる事件が
起こります。
「心苦しい決断だが、納得したうえでアウクスブルク戦から距離を置く」
今年の2月26日月曜日に行われた
ドルトムントとアウグスブルクの試合では
多くのサポーターが自主的に応援を
ボイコットしました。
普段であれば、8万人ものファンが
ジグナル・イドゥナ・パルクに駆けつけ
スタジアムを満杯にするのだが、
この日は通常の3万人も下回る5万4300人
しか来場しませんでした。
この試合では
膝の十字靭帯の断裂からロイスが
復帰したため、本来であらば
サポーター全員で復帰を喜び、
温かく見守りたかったのだと思います。
しかし、ある理由でロイスの復活の祝福も
出来ませんでした。
それはドイツ国内で増えている
月曜日開催の試合である。
ブンデスリーガには神聖な土曜日の15時半
ドイツでは、土曜日の午後は
特別な時間です。
数十万人ものサポーターがスタジアムに
足を運び、自分の好きなチームを
応援します。
テレビやラジオ、スマートフォンなどでも
多くのファンがブンデスリーガに
釘付けになります。
そんな土曜の15時半が失われつつ
あるのだ。
土曜の15時半の試合は、半数以下の
4試合しか行われず、その代わり月曜の夜に
1試合増えたのです。
ドイツの新聞である"WAZ"が
『ブンデスリーガは、ファンたちを呆れさせ、サッカー離れが始まらないよう気をつけなければならない』と警告しました。
しかし、もう手遅れなのである。
前述のようにドルトムントのサポーターが
ボイコットをしたような事件が
益々増えることは周知の事実なのです。
ドイツサッカー連盟は
『木曜日にELに出場するチームへの配慮』と
説明していますが、実際には
『サポーターに対する配慮』の欠如なのです。
もちろん、チャンピオンズリーグの
グループステージを3位で予選敗退となり
ELを主戦場にしているドルトムントの
試合日程を考慮した上での
月曜開催であります。
しかし、サポーターにとっての月曜日は
平日であり、夜となると次の日も
仕事であるため、当然帰りが遅くなり
試合を観に行けないことが増えるのです。
これは今に始まったことではなく
観客動員数が9季ぶりに1300万人を下回った
昨シーズンの数字にもファンの失望が
現れています。
そんなファンの期待を裏切る
ドイツサッカー連盟は
一体何が目的なのでしょうか?
ヨーロッパで熾烈な国際競争
最近話題になった『ランチタイムクラシコ』、
プレミアリーグのランチタイムキックオフは
アジア市場の開拓を目的とし、
アジアのゴールデンタイムに合わせて
キックオフの時間を決めたものです。
特にプレミアリーグのTV放映権料だけで
言うと、昨シーズンの最下位である
サンダーランドの放映権収入が
ブンデスリーガ首位のバイエルンの数字を
越えているのです。
なので放映権収入という面でも
他のヨーロッパの国々に置いて
いかれないためにも非常に重要なのです。
なのでブンデスリーガも
土曜の15時半という時間に拘らずに
放映権収入の増加を狙い、各国の放送局のニーズに合わせるという意味で
月曜夜開催の試合を組んでいるのです。
しかし、ランチタイムクラシコは
『クラシコのこの最悪なキックオフ時間は、我々から中国の人々へのクリスマスプレゼントだと言える。彼らだけのためのキックオフ時間なんだ』と
スペイン人記者の皮肉が込められた投稿。
プレミアリーグでも移籍市場の常識を
破壊する『爆買い』や
『ランチタイムキックオフ』に、
地元ファンが冷ややかな目をしている。
このような批判的なファンの率直な意見は
どの国でも、同じなのである。
また、ブンデスリーガだけで言えば
若者のブンデスリーガ離れが
深刻だそうだ。
若い人たちはスター選手よりも
アマチュアの試合を見ることを好む。
自分もピッチに立っているような
身近さや、その一部として共有できる
経験のほうが大切なのだ。
ブンデスリーガを含む5大リーグに
言えることだが
『大切にすべきは、目先の利益なのか?それともクラブを支えてくれるファンなのか?』
オイルマネーによる
『欧州サッカーバブル』がいつ崩壊するのか
わからないのだから…
今日も読んで頂きありがとうございます。
このブログが皆様にとって、役に立てば
幸いです。
ではまた!