『中盤を支配すれば、試合を制す。』~チャンピオンズリーグRound16 2leg /レアルマドリード vsパリ・サンジェルマン~ 《前半》
パリ・サンジェルマンのホームスタジアムは
『パルク・デ・プランス』である。
直訳すると、"王子達の公園゛
という意味だ。
サンジェリスタ達は
逆転を信じ、懸命に11人の王子達を
応援した。
ミラノダービーを彷彿させるような
発煙筒を使った熱のこもった応援は
何度も試合を止める程の熱であった。
しかし、発煙筒の火にも限界がある。
後半40分になると一気にその火花が
サンジェリスタの心の炎と共に消え始めた。
試合終了と同時に"王子達の公園"が
チャンピオンズリーグ二連覇の王者、
レアルマドリードの11人のための
"王者達の公園"に変わったのかもしれない。
フォーメーション
パリ・サンジェルマンは
大幅にメンバーを変えます。
戦術的な理由から1leg使われなかった
CBチアゴ・シウバや、マルキーニョス
MFにチアゴ・モッタ、ベラッティー、
そしてネイマールの穴を絶好調のディマリアが
入った[4-3-3]です。
一方のレアルマドリードは
モドリッチ、クロースを強行出場させず
中盤には、コバチッチ、アセンシオ、
ルカス・バスケスを入れて、1legの後半の
得点が入ったいい形のフォーメーションである
[4-4-2]をこの試合では頭から試します。
中盤の戦いがゲームを制する試合!!
早速試合分析をしていきたいと思います。
結果は1leg、2legトータルで
5-2でレアルマドリードがRound8に
駒を進めました。
この試合で重要なポイントとなった
両チームの中盤の狙い・攻防を中心に
試合分析していきたいと思います。
レアルマドリードの中盤の狙い・前半の狙い
1leg勝利を挙げているレアルマドリードは
攻撃にあまりリスクを追わない戦い方を
していました。
というのも、中盤のカゼミロとコバチッチは
攻撃にあまり関与せずに、守備に重きを
おいていました。
狙いは大きく言うと
中盤の主導権を握らせないことです。
パリ・サンジェルマンの中盤の
1legで得点を上げたラビオとヴェッラッティを
カゼミロとコバチッチのマンツーマン気味で
押さえることがレアル側の狙いでした。
アンカーのチアゴ・モッタはというと
ベンゼマが守備に参加して、最終ラインから
チアゴ・モッタへのパスコースを切って
上手く仕事をさせませんでした。
マンツーマン気味のカゼミロ、コバチッチを
逆手に取り、2人の間をパスコースに
して中に入ってきたディ・マリアや
ムバッペの中央突破を許すシーンが前半、何度かありました。
しかし、パリ・サンジェルマンの中盤自体は
押さえていたので、レアルマドリードの
中盤の狙い自体は効いていました。
前半20分前後からラビオとヴェッラッティが
高い位置を取るようになり、その二人を
押さえることが厳しくなります。
この時間帯から少しずつ
パリ・サンジェルマンにチャンスのシーンが
多くなります。
これを見たジダン監督は守備の戦術を変更します。
マンツーマンからゾーンへの変更です。
マンツーマンからゾーンに変更して
サイドにボールが渡ったときは
ボールサイドに中盤の三人がサイドに
スライドするというシステムを使います。
スムーズに戦術を変更していたので
事前に用意していたものだと感じました。
これにより、再び相手を押さえ
込みました。
41分に決定機を作られたシーン以外は
崩されることなく、主導権は
パリ・サンジェルマンに握らせつつも
実際には、ボールを持たせていたという
印象を受ける前半でした。
一方の攻撃では、中盤のカゼミロとコバチッチが
攻撃参加しないため、
左サイドはマルセロ、アセンシオ、ロナウド
右サイドはカルバハル、ルカス・バスケツ、
ベンゼマで連携して相手の守備システムを
崩していました。
攻撃の際に目立っていたのが、
狭いスペースから広いスペースへの展開と
カウンターからのサイド攻撃です。
前述の通り、守備に重きを置くため
前線に選手が上がって来ません。
そうなると、いくらサイドでボールを
回していても相手に数的同数、または
有利な状況で守備をされるためどうしても
ゴール前でのチャンスクリエイトが
できません。
なので、ボールが回らなくなったら
サイドチェンジをして相手の目線を変え
上手くボールを取られずに攻撃を
していました。
2つ目のカウンターからのサイド攻撃は
パリ・サンジェルマンもレアルと同様に
両SBが攻撃の際に、高いポジションを
取るチームです。
なので、トラジションの際には
SBの裏が空きます。
パリ・サンジェルマンだと
ダニエル・アウベスの裏のスペースが
よく空きます。
自陣でボールを奪ったマルセロが
ダニエル・アウベスの裏のスペースに
走り込んだベンゼマにロングパスを出して
決定機を作ったシーンも見られました。
この時間帯には、中盤の2人が
高いポジションを取っていたことも、
カウンターとなると、自陣への戻りが
遅くなり、人が足りない状況ができて
ピンチを招いたという結果に繋がっている
ため、カウンターが効果的になる要因でも
ありました。
パリ・サンジェルマンの中盤の狙い・前半の狙い
2legは、チアゴ・モッタが復帰したため
1legよりも中盤が攻守のバランスが
取れるようになります。
また、レアルマドリードの中盤が
通常であれば控えである選手を
起用しているため、クオリティの低下は
免れません。
その弱点を突く形で
前半は中盤を中心にボールを回しながら
適材適所で縦パスを入れて、前線で
チャンスを作るというのが、
パリ・サンジェルマンの狙いでした。
しかし、その作戦が読まれたのかのように
レアルマドリードには、中盤を押さえられます。
困ったエメリ監督は
中盤のラビオとヴェッラッティを
より前のポジションでプレーさせて
バイタルエリア付近で数的優位を作ります。
その狙いが前半42分にハマり
決定機を演出します。
レアルマドリードの陣内でボールを
回しながらもパスミスをしてアセンシオに
ボールが渡り、トラップが長くなった
ところをヴェッラッティが奪った
ところから始まります。
ヴェッラッティはそのまま
ダニエル・アウベスにボールを預けて
体を右サイドでフリーのディ・マリアに
向けたままで(レアルの守備陣をディ・マリアに集中させる)、
フリーのヴェッラッティにパスを出します。
レアルのほとんどのディフェンダーが
ディ・マリアに目線を向けていたため
慌てて皆が揃って、レアルの
ディフェンダーがヴェッラッティに
寄せます。
そして右サイドでフリーになっていた
ディ・マリアにパスを出します。
ディ・マリアはドリブル突破で
レアルのペナルティエリアの深い位置まで
侵入してクロスを上げます。
ヴァランがパスコースを切りながら
ディ・マリアとの間合いを詰めていたためナバスはパスコースを楽に予測することが
でき、前に出てボールを押さえます。
ディ・マリアにボールが入った瞬間
カバーニがポジションを取り直し、より
ゴールに直結するポジショニングを
しましたが、大外のムバッペへのマークが
甘かったので、ファーにクロスを
上げられていたら得点に繋がったかも
しれません。
一方の守備はというと
プレスをかける前線と中盤、
そして最終ラインとの距離が前半から
開けていて、常に間延び状態が続いて
いました。
豊富な運動量で自陣まで守備に戻る
カバーニでさえ守備をしていなかったので
守備のタスクを背をわせるよりも
攻撃に専念させるエメリの狙いが
伺えます。
前半は、狙いがハマったレアルと
読まれてしまったパリ・サンジェルマンの
構図の中、先にエメリが仕掛け、チャンスを
作り、ジダンが後を追う形で、守備戦術を
変えてパリ・サンジェルマンの猛攻を
押さえたというのが、ざっくりとした
前半の内容です。
次回は後半の分析を
あげたいと思います。
ヴェッラッティ退場による守備の弱体化や
ロナウドの勝負強さの秘訣などを
書いていけたらなと思います。
今日も読んで頂きありがとうございます。
このブログが皆様のお役に立てれば幸いです。
ではまた!