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サッカーをこよなく愛する人、特にレアルマドリードを愛する人を笑顔にさせることを目的に書いているブログです(^^)レアルマドリードの試合を中心に、個人的な意見や独自の角度からの分析をしていきたいと思っております。サッカーを通じて、色々な方と繋がり、自分自身の成長に繋がればいいなと思っております。

『カンプ・ノウを震撼させた日本人、乾貴士』

日産スタジアムレアルマドリード
本気にさせたのは、間違いなく鹿島の
堅守速攻スタイルがハマったのと、
柴崎岳という個があったゆえで
あろう。


その出来事は世界を驚愕させた。



そして2017年5月22日に一人の日本人が
今度はバルセロナ相手に奇跡を起こした。



バルセロナ相手に2得点を取ったのである。


バルセロナのホーム、カンプ・ノウ
得点した日本人選手は初めてであり、後世に
語り継がれるであろう、偉大な記録を
残した。



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スペイン紙『アス』では、3段階中最高となる「3」の評価を受け、
「エイバルのインテンシティーは乾によって見事に具現化された。彼はとてつもないパルティダッソを演じ、ゴールという褒賞を得た」と評された。


更に驚くべきことに、
この試合で、バルセロナの選手で
『3』を取った選手がいないというのも
乾貴士のプレーにスペイン人が
魅了した証であろう。


クラブワールドカップ
レアルマドリード相手に見せた
柴崎岳のプレーに続き、乾貴士までもが
世界を魅了した。


日本人だって、韓国(ソン・フンミン)に
負けてはいない。




乾貴士選手の経歴


1988年6月2日生まれの29歳です。

滋賀県近江八幡市の出身です。


身長は169cm、体重は59kgです。


〇今のプレーのルーツは幼少期の環境

小学校~中学時代には
地元滋賀県のセゾンフットボールクラブ
というユースチームに所属しています。


ドリブルの練習メニューが多く
乾貴士選手の現在のドリブルの技術の
土台は、ここで作られたものなのです。


「乾は貪欲でしたね。終わってからも1人勝手に練習もしていましたし、野洲高校に入ってからも朝早く学校に行って、自分で練習したりもしていたみたいです。仕事で家の近くを通っても、壁当てをしたりして、自分で練習していました」


乾貴士選手を教えた当時のコーチが
コメントするぐらい、当時から努力家
だったのでした。



野洲高校のセクシーフットボールで更に磨きのかかったドリブル

2004年、滋賀県野州高等学校
進学します。


野洲高校のサッカー部は
個人技に裏打ちされたドリブル突破
組織的、かつ流動的なパス回し
相手を崩す、美しいサッカーを
していました。



当時、そのサッカーの美しさゆえに
『セクシーフットボールという名称で
呼ばれました。



滋賀県内の強豪である野洲高校の中でも
乾貴士選手は、入学当初から
"目立った存在"だったそうです。




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2年時に左WGのレギュラーの座を掴み取り
その年に出場した2005年の第84回
高校サッカー選手権では、一学年上の
清水エスパルス
所属の楠神順平ヴァンフォーレ甲府などで
活躍した青木孝太、同学年では
コンサドーレ札幌で活躍している
田中雄大などが同じチームにいました。



乾選手を含む多くのタレントを擁した
野洲高校は、破竹の勢いで並みいる強豪を
打ちのめし、この年の選手権では優勝に
輝きました。


特に『セクシーフットボール』の体現者の
中でも、乾貴士選手は別格でした。


まるで舞を踊っているかのように
テクニックを生かしたドリブル、
相手の急所を突くスルーパス
ヒールキックなど意表を突くトリッキーな
プレーが
、高校生離れしていて
大会でも注目の的でした。


当然プロからのスカウトもあり
高校卒業後の2007年横浜F・マリノス
入団しました。

〇ターニングポイントであったセレッソ大阪移籍と香川との出会い


同年のJ1第2節にプロデビューを
果たしますが、当時のマリノス選手層の
厚さ
ゆえに、中々出場機会を
伸ばせずにいました。



そのため、2008年6月には
セレッソ大阪期限付き移籍をします。


香川真司もこの頃セレッソ大阪
在籍していました。


セレッソ大阪では出場機会に恵まれ
ここで乾の才能が開花します。



このシーズン終了後に活躍が認められて
セレッソ大阪へ完全移籍します。



2009年シーズンには
ハットトリックや、1試合4得点などの
素晴らしい成績を残して、4年ぶりの
J1復帰に貢献します。



また同年1月20日のアジアカップ
イエメン戦で現鹿島アントラーズ
金崎夢生と共にA代表デビューを
果たします。


〇栄枯盛衰の海外挑戦


2011年8月1日、ドイツ2部の
ドイツ2部のVfLボーフムに完全移籍をし、
乾貴士の海外挑戦が始まります。




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8月12日のFCサンクトパウリ戦
トップ下としてドイツ2部での初出場を
果たしました。


その後はレギュラーとしてコンスタントに
試合に出続け、リーグ戦30試合で
7得点というチームトップの
成績
を残しました。


しかし、チームが中々調子を上げることが
できずに、1部昇格を逃しました。



2012年6月25日に
2部に降格して1年で昇格した
フランクフルトに完全移籍します。



9月16日のハンブルガーSV戦で
ブンデスリーガ初得点を決め
12/13シーズンには、ブンデスリーガ
所属している日本人選手としては
過去最多の6得点を取り、
UEFAヨーロッパリーグの出場権獲得
貢献します。



しかし翌年の13/14シーズン、
14/15シーズンは出場機会が激減します。


2014年11月には一年ぶりに代表招集され

キリンチャレンジカップホンジュラス戦で
代表初得点を決めます。






その後、出場機会を求めて
念願のスペインの地に辿り着きます。



2015年8月27日にリーガエスパニョーラ
SDエイバルに完全移籍します。

1年目は、出場機会が少なく
3得点3アシスト、2年目は先発出場の機会が
増えるも、試合途中でのスタミナ切れで
途中交代を余儀なくされ、

スペインでも苦悩の日々が続きました。




しかし3年目の今年は、29節現在で
先発、途中出場も合わせると、28試合に
出場し、チームの中での存在感を
示しています。(4ゴール2アシスト)




大久保嘉人の持つ
リーガエスパニョーラ最多出場記録を
更新し
、また冒頭で書いた通り、2017年
5月21日の最終節のバルセロナ戦で
2得点の活躍をし、世界に乾貴士の名を
とどろかせ、海外組の中でも一際目立った
活躍をしています。



プレースタイル


乾貴士選手の魅了と言えば
何といっても、1対1での抜けるテクニック
持っているところです。


格別スピードがあるわけではありませんが
サイドからのカットインか縦に仕掛けるかの
判断力がよく、海外でも通用する
個のクオリティを持っています。


判断力という部分で言うと
最近、周りを活かすプレーやハリルホジッチ
監督が求める守備の強度が
上がっています。


エイバルでは、SBでのアンヘルと連携して
左サイドでの攻撃をしています。


カットインからの仕掛けでディフェンスを
振り切りシュートなのか、それとも
カットインと見せかけて、オーバーラップ
したアンヘルにパスを出すのかの
状況把握能力
がスペインの地に行くことで
磨きがかかった部分でもあります。





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・・・→=人の動き
=パス



守備の強度で言うと
運動量もある選手ですが、
『どこで寄せて、どこでボールを奪うのか』
という判断力、戦術理解力
が伸びて
きています。


エイバルが前線からのプレスを
仕掛けるチームゆえの成長なのでしょう。




以前はボールを奪う激しいプレスと
相手の攻撃を遅らせるプレスの
2つのプレスの使い分けが
上手くできませんでした。



特に2年目のシーズンに途中交代が
多かったのも、プレスの使い分けが上手く
できず、守備での無駄走りが多く
試合中盤~終盤に、スタミナ切れを起こして
いた
という事情があったのだと思えば
納得がいきます。



しかし、3年目の今シーズンは
明らかな変化が見られました。



無駄に飛び込んだり、いらないファールが
減り、24節時点で、99インターセプト
前線の選手の中でトップの数字を
叩き出しています。


それは所謂『抜くこと』を覚えたことと
戦術理解力の向上により、連動したプレスを
かけられる
ようになったことに
起因しています。


チームコンセプトが前線からの守備で
あるとはいえ、90分間走り続けてもいたら
体が持ちません。


今シーズンを見ていると
逆サイド(エイバルの右サイド)で相手が
ボールが持っている場面では、
中には多少絞りはしますが、あまり守備には
参加しないシーンが見られるように
なりました。



そしていつ抜くかを覚えたことにより
いつ行くかについても意識の向上が
ありました。



前線の選手である乾選手には
1対1のボール奪取というよりは、周囲との
連動したプレス、つまり「はめて奪う」
能力が求められています。




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(図のように、相手のCBとSB両方に行けるポジショニングをしつつ、左SBの上がりを待ち、その後2人で連携してボールを奪うシーンが今年から増えた)



個での向上(足の入れ方、体の使い方)も
あるものの、今年から顕著に見られるのは
ドンピシャのタイミングでプレスに
行けるようになった点です。



それは3年目になり守備戦術の理解度が
上がり、周囲と同じビジョンを
見られるようになったことに
起因しています。






先日の28節のレアルマドリード戦では
持ち前のドリブルは、世界で指折りのSBで
あるカルバハルに押さえ込まれたものの
守備力という部分ではレアルマドリード
苦しめていたように見えました。



来週に控えたヨーロッパ遠征には
選ばれなくて、非常に残念ですが
ワールドカップには必ず必要なピースで
あることは変わりありません。



なので6月に迫ったワールドカップに
向けて、最高のコンディションで、
各国のディフェンダーを骨抜きにして
日本代表をよりいい成績を収められるよう
導いて欲しいです。




今日も読んで頂きありがとうございます。

このブログが皆様のお役に立てれば、幸いです。


ではまた!

『サリーダ・ラボルピアーナ』とか何か? ~戦術用語~

現代サッカーでは、守備戦術の中で
前線からのプレスという戦術
主流になっている。


例えば
クロップ監督のリバプールで話題となった
ゲーゲンプレスもボールを取られた瞬間に
ボールホルダーにプレスをかけるという
非常に攻撃的な守備戦術が
代表的な例なのである。



そのプレスをくぐり抜け
中盤や前線にボールを運ぶために
何をすべきかについては、各国、各クラブで
議論が飛び交わされている。






その一つに
サリーダ・ラボルピアーナ(戦術用語)という
概念がある。


ヨーロッパでは
マンチェスター・シティー率いる
グアルディオラ監督や
レアルマドリードジダン監督などが
この戦術を利用している。



今回はこのサリーダ・ラボルピアーナ
ついて紹介したい。




サリーダ・ラボルピアーナの起源


サリーダ・ラボルピアーナは
意外にもメキシコ発祥の戦術用語
なのです。




現役時代メキシコ代表で
フィジョルのサブGKであった
リカルド・ラボルペが監督としての
キャリア中で、戦術の型として完成させてラボルペの名前を取って名付けた
戦術用語です。




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選手生活の晩年(2005~2006)に
メキシコのドラドス・シナロアでプレーを
していたペップ・グアルディオラ
リカルド・ラボルペの仕事を近くで
見る機会があったことも、何かの縁なのかも
しれません。





サリーダ・ラボルピアーナのメリット、

デメリット


〇メリット

①相手の前線からのプレスに対して、

数的優位・位置的優位を作り、
ビルドアップを安定させる


サリーダ・ラボルピアーナは
当時、2トップからのプレッシャーを
2CBが回避する目的で生まれたものです。


簡単に言うと
ビルドアップのときに2CBの間に中盤の
MFが降りてくる動きのことを
サリーダ・ラボルピアーナと言います。



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レアルマドリードではカゼミロ
バルセロナではセルヒオ・ブスケツ
マンチェスター・シティーでは
フェルナンジーニョがこの動きを
行っています。




もうひとつのバリエーションとしては
MFがCBの外側、つまりSBの位置に
降りてくる場合もあります。



レアルマドリードではトニークロース
マルセロの裏のスペースでこの動きを
して、位置的優位を生み出しています。





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また、昨日の記事にも書いた通り
レアルマドリードでは中盤の2人が
降りるという進化系もあります。



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(先日のエイバル戦)



では実際の動きについて
説明したいと思います。


サリーダ・ラボルピアーナは
どのチームでも形は簡単に作れるかも
しれませんが、実際の目的を意識して
取り組まなければ、意味がありません。



形を簡単に作れるという意味では
数的優位はそれほど大切ではなく、
実際には位置的優位が重要なのです。


つまりCB2人とMF1人の距離感
重要なのです。




相手の連動した前線からのプレスを
分断しつつも、前線にボールを
運ばなくてはならない以上、3人の
ポジショニングも大切になります。




そしてそれ以上にボールホルダーの動きも
大切になります。



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ボールホルダーは、相手の前線からのプレスを
一方のサイドに誘導し、逆サイドの一人を
フリーにさせることが理想です。


そのため、ボールホルダーは
パスを出すべきなのか?
ボールを運ぶべきなのか?
状況に応じて、即座に判断できなければ
なりません。



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②ネガティブトランジションの際に

バランス良く守りやすい


サリーダ・ラボルピアーナとは
元々2トップによるプレッシャーを
想定して、作られた戦術ゆえに
仮にボールを取られたら後のことまで
考えられています。


前述の説明から理解できるように
ボールを取られたとしても2対3の数的な
優位性を作られるため、ネガティブ
トランジション時でも慌てずに守備が
できます。




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③サリーダ・ラボルピアーナによって

前線の陣形も変わるため、ハーフスペースを
前線の選手が必然的に埋めることができる



フォーメーションによって
変化の方法は異なるが、ここでは
[4-3-3]でのサリーダ・ラボルピアーナの
フォーメーションの変化を取り上げます。




サリーダ・ラボルピアーナは
CBがサイドに大きく開くため
SBは必然的に、サイドの高いポジションを
取ります。


それにより、前線のWGとの距離感が
近くなり、WGは中央のエリアに寄ります。


結局WGのポジションチェンジは
ハーフスペースにポジショニングを
します。




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このハーフスペースというエリアは
現代サッカーでは、攻撃おいて非常に重要な
エリアであり、このエリアを利用して、
攻撃をするという戦術が年々増えてきて
おります。





〇デメリット

①相手が1トップまたは、プレッシャーが少ないの場合の、サリーダ・

ラボルピアーナは、中盤以降のパスコースが
減る


サリーダ・ラボルピアーナ
適切な状況判断力の上に成り立つ 
ものです。


判断力を欠いていると
ボールより後ろに無駄な人数を
かけているだけ
の戦術になって
しまいます。



コンセプトがしっかりしていないチームが
この戦術を行う際に、しばしば見られるのは
形的にはサリーダ・ラボルピアーナを
行っていても、最終ラインの3人と
それより前の7人の距離が離れすぎて
間延びしている光景です。




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(中盤は数的不利な状況が生まれている)



これではパスコースが限られてしまい
相手チームとしても簡単にボールを
奪いやすいです。



なので、ビルドアップにおいて
サリーダ・ラボルピアーナだけではなく
複数のオプションを用意しておく柔軟性も
大切なのです。


バルセロナでは
テア・シュテーゲンという足元の
上手いGKがいるため、ビルドアップの
起点としてゴールキーパーもビルドアップに
参加している光景が頻繁に見られます。



MFが降りなくていいパターンが
バルセロナにはあるのです。



GKを逆三角形の頂点として
CBと共に3人で
ビルドアップを
安定させることで、中盤の数的優位を
生み出すことができます。




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この発展系は、どのチームでも
できる訳ではなく、バルセロナという
技術の高い選手が多いからこそ
成せる技なのです。



なので、ビルドアップにおいては
センターラインを越えるまでSBは
高いポジションを取らないこと

大胆に割り切り、ビルドアップを放棄して
前線の高身長、または空中戦の強い選手に
当ててから、攻撃を始める
などの対策が
並みのチームには求められます。





今日も読んで頂きありがとうございます。

このブログが皆様のお役に立てれば幸いです。

ではまた!

『ビルドアップは攻撃の出発点』~リーガ28節/エイバルvsレアルマドリード~

3月10日(土)の日本時間21時から
リーガエスパニョーラ第28節、
エイバルvsレアルマドリードの一戦が
行われました。

チャンピオンズリーグ
パリ・サンジェルマンを破り、いい流れで
迎えるこの一戦。


エイバルの運動量豊富な選手達による
超攻撃的プレスにレアルマドリード
どう立ち向かうのか
に注目です。




フォーメーション

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エイバルはこの試合でも
乾貴士選手がスタメンです。


フォーメーションは[4-3-3]でした。


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一方のレアルマドリード
チャンピオンズリーグで温存した
クロースモドリッチをスタメンで
起用しました。


中盤ダイヤモンド型でイスコを
トップ下に置きます。


前線はベンゼマではなくベイルを
ロナウドと共に並べた布陣で望みます。


レアルマドリード[4-4-2]です。





ビルドアップの形と連動したフォーメーションの変化

この試合では、前半エイバルの
高い位置からのプレスにより
ビルドアップが
上手くいかず、ロングボールを蹴らされたり
コースを限定されて、ボールを取られたり
するシーンが何度もありました。



前半30分でのボール支配率も
エイバルが54%、レアルマドリード
46%という数字が残っており、
エイバルに主導権を握られていたことが
数字でもわかります。




しかし、それは前半21分までの数字で
あります。



21分にで試合が止まったときに
ジダン監督は、クロースとロナウドを呼び
指示を出していました。



その2人に注目して試合の展開を観てみると
ある変化が見つかったのです。


その変化とは2つあります。



1つは、
CBの間に降りてくる選手が変化したこと


もうひとつは
フォーメーション自体が変化したこと



2つと理解しやすいよう表現しましたが
実際には、CBの間に降りてくる選手が
変化したことで、フォーメーションも
変化したとも言えるのです。



それまで、ビルドアップの際に
サリーダ・ラボルピアーナの動きを
していたのはカゼミロだけでした。


サリーダ・ラボルピアーナとは
簡単に言うとCBの間に中盤の選手が
降りてくることです。



エイバル側もCBからカゼミロに
ボールに渡った瞬間や降りてきた瞬間に
パスコースを潰したりプレスにかけたり
しています。



実際に、前半4分のシーンでは
カゼミロにボールが入ったところ(①)で
プレッシャーをかけて、パスコースを
限定します。



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結局セルヒオ・ラモスに戻しましたが(②)、
セルヒオ・ラモスも出しどころがなく
パスミスをしたところ(③)を狙われて
ショートカウンターをされました。


しかし21分になると変化が埋れます。



まずサリーダ・ラボルピアーナの動きを
クロースもするようになります。


そうするとピタリとジダンの采配が
当たったかのように、エイバルのハイプレス
を剥がすことができました。


これはエイバルの守備のスイッチが
カゼミロだったことを意味するのです。


エイバルの守備は第一スイッチが
CBかGKがボールを持ったときで
あります。


第二スイッチがビルドアップのために
降りてきたカゼミロです。


これにより、前半4分のシーンや
前半31分のカゼミロにボールが入った際に
ボールを奪うことができて、
ショートカウンターでチャンスを作ることが
できました。




さてクロースがビルドアップに
参加したことで何が変わったのか?


ビルドアップに数的優位を作ることができ
尚且つエイバルの守備陣を撹乱するという
メリットを作ることができたのです。


エイバルの前線は3トップであり
それに対してレアルの最終ラインは
両SBが高いポジションを取るため、
実質2人なのです。


カゼミロが降りてきても3人で
数的同数ですが、カゼミロはエイバルの
守備のスイッチであるため、当然後方からのマークも厳しいです。


そこでクロースが
サリーダ・ラボルピアーナの動きをすると
単純に数的優位が作れ、パスコースを
増やすことができ安定したビルドアップが
行えます。



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五分五分のボールが多くクロースが
ビルドアップに参加する動き事態は
少なかったですが、前半の途中から
ボールが落ち着いた訳には、このような
戦術変更があるのです。


そして前半終了間際(41~45分)には
イスコも中盤に降りてきます。

これはカゼミロとの縦の
ポジションチェンジによるもので
エイバルの守備の守備を撹乱する狙いと
得点を取り、後半に向けてセーフティーに
前半を締める
という明確な狙いも
あったのです。



クロースへの指示による個人戦術の変更は
理解できましたが、なぜジダンロナウド
まで呼んだのでしょうか?



それはクロースの役割の変更には
フォーメーションの変更をも
伴っていたからです。



試合が始まった時点では冒頭で
説明した通り、中盤ダイヤモンド型の
[4-4-2]でした。


しかし、ビルドアップが安定しないことで
クロースが左インテリオールの位置から
カゼミロが最終ライン付近まで
降りてきます。


それにより左の空いた位置に、
ベイルを一列下げてトップ下のイスコを
一列上げて2インテリオール、2シャドーの
[4-4-2]
に変更します。




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2シャドーのベイルはエイバルのカパの裏
スペースを狙い、モドリッチサイド
ボールを回しつつ、中央にカットインして
ドリブル突破
を明確な狙い
としていました。



2トップは中央でのプレー
徹していました。


2インテリオールは前述の通りです。


試合を見ていると[4-4-2]からベイルが
ドリブルでアタッキングサードに侵入して
[4-3-3]のような形
になったりも
していたので、クロースがビルドアップに
参加するか
によって使い分けていたのだと
私は思います。




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守備でもエイバルにサイドを上手く
使われていたので、2シャドーが下がって
中盤をフラットにすることで、相手の
サイド攻撃を封じる効果もありました。




ロナウドの2得点の裏に潜むレアルマドリードの守備の組織力の高さ


この試合、ロナウドの2得点
1-2レアルマドリードが勝つことが
できました。


ロナウドの高いサッカーIQゆえに
奪えた2得点でもありましたが、
実は2得点ともレアルマドリード
守備の狙いがハマり、ショートカウンター
得点に結びつけたものなのです。




今回は
先制点を奪った前半33分の得点シーン
フォーカスして、分析したいと思います。



まずエイバルのCBのアルビージャ
持ち上がったビルドアップのシーンから
解説します。



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この時のボールサイドでは
ミドルサードで前線の乾をカルバハル
キケ・ガルシアをカゼミロがマークし
中盤に降りてきたダニ・ガルシアにも
イスコ
がマークをしていました。


クラシコパリ・サンジェルマン戦で使った
オールコートマンツーマン気味
ディフェンスをここでも使います。


図を見て頂ければわかる通り
左SBのアンヘルだけがフリーの状況
でした。


このシーンでは
アンヘルをフリーにさせたのは完全な罠
仮にボールを出したとしても前線に
パスコースがないため、
戻すしかありません。


またアンヘルにボールが出た場合
モドリッチアンヘルにプレスをかけて
パスコースを限定して、ボールを
戻したところをイスコがアルビージャに
プレッシャーをかけてボールを奪うという
狙い
もあったのだと思います。



アルビージャは、レアル側の守備の意図を
汲み取ったのかはわかりませんが、
出しどころがなく乾に向けて無理に 
パスを出します。


広い視野を持つモドリッチ
パスカットをして、右SBのカパの裏の
スペースをロナウドが使って、そこに
モドリッチもパスを出します。



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結局はこの二人のポテンシャルで
奪った得点だと見られがちですが、
実際には連動した守備を起点に奪った
得点でもあるのです。





次節の29節は、ホームで7位のジローナとの
一戦であります。

その前の3月16日(金)にも
チャンピオンズの抽選会
があり
準々決勝の相手が決まります。


まだ不確定な部分もありますが
どこと当たっても面白い試合になることは
間違いないです。


個人的には、
マンチェスター・シティーvsバルセロナ
試合が観てみたいです。


その2チームと当たりたくないという考えと
究極のポゼッションサッカー対決が
見れるという興味が根底にあるんですけどね(笑)


また、3月16日(金)には
日本代表のヨーロッパ遠征の試合が3/23(金)に行われるため、慣習通りに
いけば、メンバー発表の日でもあります。

本田、香川、岡崎のビック3
選ばれるかにも注目です。



今日も読んで頂き、ありがとうございます。

このブログが皆様のお役に立てれば、幸いです。

ではまた!

『中盤を支配すれば、試合を制す。』~チャンピオンズリーグ Round16 2leg/レアルマドリードvsパリ・サンジェルマン~《後半》

後半65分、パリに悲劇が起こる。

ヴェッラッティの退場だ。


前半途中から高い位置でラビオと共に
レアルの守備を崩し、前半終了間際には
何度もチャンスの起点となり
ゴールに絡んでいた。


守備でもレアルの左サイドで
思うようなプレーをさせず、前半無失点で
押さえた。



レアルマドリードという強敵ゆえに
この退場は試合の展開を大きく変える
ものとなったのだ。



ミスを見逃さずに、ワンチャンスで仕留めるレアルマドリード


51分に、先制点が生まれます。


ダニエル・アウベスが出し所がない中
ボールを持って、ゆっくりドリブル
している所をアセンシオがプレスをかけ
ボールを奪います。


アセンシオがそのまま
ドリブルでアタッキングサードまで
ボールを運びます。


フリーのルカス・バスケス
ボールを出し、クロスを上げ、
ロナウドが得点を上げます。


試合の流れを変える先制点を取った
この得点が決まった要因は
2つあります。

①ルカス・バスケスのフリーラン


局面でのパリの守備のひとつの連携ミスが
得点に繋がってしまいました。


アセンシオがボールを持った状態のとき
アセンシオとベンゼマのところには
一対一でマークをつけているのですが
問題はルカス・バスケスの前線への
飛び出しに誰もついていけていません。



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(図1)


〇図の説明
=マークの方向
…→=ドリブル又は移動の方向
=パスの方向
■の番号=プレーの起こる順番


本来であれば、マルキーニョス
ハーフスペースを埋めて、ルカス・バスケス
とマッチアップしなければなりません。



ルカス・バスケスの後方にいたラビオ
いち早くルカス・バスケス
フリーランに気づいていました。


そしてチアゴ・モッタにマークに行くよう
指示したように見えましたがアセンシオが
左に体を開きながらダニエル・アウベス
股を通したため、ベンゼマに引っ張られ、マークに
行けませんでした。



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(図2)



レアルの連携が素晴らしかったのも
ありますが、リーグ戦では、格下との戦いが
多くこのようなショートカウンター
される機会がなく、実戦での経験が
なかったことが仇となり、最終ラインに
迷いと混乱を生んだゆえの得点でした。




ロナウドの駆け引き


ルカス・バスケスの弱点を見抜く観察眼も
素晴らしかったのですが、ゴール前での
ロナウドの駆け引き
も特筆すべき点です。


アセンシオがルカス・バスケスにパスを
出す前の時点(図2)で、ロナウドは一度
自分のゴール側に戻る動きをしています。


これは相手ディフェンダー
引っ張り出すことと、引き離すことの
両方のメリットがあります。


このシーンでは、後者の引き離すこと
できました。


ロナウドの動きにより、この試合で
右サイドでの対応が良くなかった
ベルチチェが離されました。


そして、中に入ってくるタイミングで
ベルチチェは後発的にロナウドについて
行かざるを得ないため、反応が遅くなり
少しの間合いでフリーになったロナウド
ゴールを許してしまいました。



守備が軽いベルチチェの外の位置に
ポジショニングしたことと、即座に選択した
ゴール前に入る駆け引きは、長年ゴールを
奪い続けてきたゆえに思いついたアイディア
であります。



ヴェッラッティ退場後の展開


65分に1枚カードをもらっていた
ヴェッラッティファールを取って
もらえなかったことに対して抗議し
2枚目のカードをもらいます。


退場後は、五分五分だった試合展開が
完全にレアル側に傾きます。


その要因として中盤での攻防の変化
挙げられます。


まず、退場までのパリの守備と
退場後の守備の変化
を説明したいと
思います。


退場までのパリの守備は
ボールを取られたらすぐに前線の3人が
前線からゲーゲンプレスをかけて
攻撃を遅らせます。


それにより高い位置でプレーする中盤の
戻る時間を稼ぎ、守備の陣形を整えます。



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それゆえに安定した守備を
生み出していました。


それに対して、退場後の守備では
この守備の狙いが一気に崩れます。


前線の3人は、基本的には守備をしない
代わりに前線でプレスをかけて、中盤の
戻りの時間を稼いでいました。


しかし退場後はいくら時間を稼いでも
ディフェンスラインは、4人(最終ライン)+
2人(中盤)の6人であり、中盤は2人のため
特に両サイド、選手間のスペースが
必然的に空く状況が多くなります。



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また、退場前の59分にチアゴ・モッタ
変えてパストーレを入れたことは
攻撃的には得点に繋がるプレーをした
というメリットでしたがヴェッラッティ
守備に貢献していたこともあり
守備的に言えば、デメリットでした。



パストーレの投入は攻撃的な交代であり
投入後も高い位置でのプレー
多かったです。


ネガティブトラジションの際に
前線で遅らせられれば、パストーレ
帰陣できるのですが、前線でボールを
遅らせることができなかった際には
4+1の守備構成になるため、圧倒的不利な
展開になります。




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通常であれば、退場者が出た場合は
誰か一人または二人中盤に降ります。


しかし得点が必要なだけに
エメリ監督はリスクを取り、前線に3人を
残しました。


当然のことながらパリ・サンジェルマン
1人余る守備での数的優位性が崩れたので
レアルにボールを持たれ始めます。


そして守備で幾度となく貢献した
コバチッチが70分でクロースと交代した
こともこのシチュエーションの中での
意味のあることであります。




それがリスクをかけないカウンタースタイル
からポゼッションスタイルへの変更です。


コバチッチからクロースに変えることは
守から攻への交代でもあり、実際に
クロースかカゼミロが攻撃参加することが
多くなります。




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それにより、今度はレアル側に数的優位
状況が生まれます。



その後はレアルペースでボールが
回り、パリ・サンジェルマンの守備の
時間が圧倒的に多くなりました。



83分にラサナ・ディアラを入れて、
[4-3-2]にフォーメーションを変更しましたが
時すでに遅し。



2勝したレアルマドリード
Round8に駒を進めました。


Round16が決まった際には
どちらが勝つのかわからなかったのですが
試合が終って、やはり両チームの経験の
差が顕著に出たという印象が
強かったです。


オイルマネーで有名選手を集め強化しつつも
ネイマールの問題などで内部の組織も
ゴタゴタなパリ・サンジェルマン


チャンピオンズリーグ2連覇や数々の実績を
残したメンバーで今シーズンも臨む
レアルマドリード



逆転を信じて戦ったパリ・サンジェルマン
リスペクトしつつ、レアルマドリード
今後のチャンピオンズリーグでの健闘を
祈りたいと思います。


今日も読んで頂きありがとうございます。

このブログが皆様のお役に立てれば幸いです。

ではまた!

『中盤を支配すれば、試合を制す。』~チャンピオンズリーグRound16 2leg /レアルマドリード vsパリ・サンジェルマン~ 《前半》

パリ・サンジェルマンのホームスタジアムは
パルク・デ・プランスである。


直訳すると、"王子達の公園゛
という意味だ。


サンジェリスタ達は
逆転を信じ、懸命に11人の王子達を
応援した。


ミラノダービーを彷彿させるような
発煙筒を使った熱のこもった応援は
何度も試合を止める程の熱であった。



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しかし、発煙筒の火にも限界がある。


後半40分になると一気にその火花が
サンジェリスタの心の炎と共に消え始めた。


試合終了と同時に"王子達の公園"
チャンピオンズリーグ二連覇の王者、
レアルマドリードの11人のための
"王者達の公園"に変わったのかもしれない。






フォーメーション


パリ・サンジェルマン
大幅にメンバーを変えます。


戦術的な理由から1leg使われなかった
CBチアゴ・シウバや、マルキーニョス
MFにチアゴ・モッタ、ベラッティー、
そしてネイマールの穴を絶好調のディマリアが
入った[4-3-3]です。



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一方のレアルマドリード
モドリッチ、クロースを強行出場させず
中盤には、コバチッチ、アセンシオ、
ルカス・バスケスを入れて、1legの後半の
得点が入ったいい形のフォーメーションである
[4-4-2]をこの試合では頭から試します。




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中盤の戦いがゲームを制する試合!!

早速試合分析をしていきたいと思います。


結果は1leg、2legトータルで
5-2でレアルマドリードがRound8に
駒を進めました。



この試合で重要なポイントとなった
両チームの中盤の狙い・攻防を中心に
試合分析していきたいと思います。



レアルマドリードの中盤の狙い・前半の狙い

1leg勝利を挙げているレアルマドリード
攻撃にあまりリスクを追わない戦い方を
していました。


というのも、中盤のカゼミロとコバチッチは
攻撃にあまり関与せずに、守備に重きを
おいていました。


狙いは大きく言うと
中盤の主導権を握らせないことです。



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パリ・サンジェルマンの中盤の
1legで得点を上げたラビオとヴェッラッティ
カゼミロとコバチッチのマンツーマン気味で
押さえること
がレアル側の狙いでした。


アンカーのチアゴ・モッタはというと
ベンゼマが守備に参加して、最終ラインから
チアゴ・モッタへのパスコースを切って

上手く仕事をさせませんでした。





マンツーマン気味のカゼミロ、コバチッチを
逆手に取り、2人の間をパスコース
して中に入ってきたディ・マリア
ムバッペの中央突破を許すシーンが前半、何度かありました。



しかし、パリ・サンジェルマンの中盤自体は
押さえていたので、レアルマドリード
中盤の狙い自体は効いていました。




前半20分前後からラビオとヴェッラッティ
高い位置を取るようになり、
その二人を
押さえることが厳しくなります。



の時間帯から少しずつ
パリ・サンジェルマンにチャンスのシーンが
多くなります。



これを見たジダン監督は守備の戦術を変更します。

マンツーマンからゾーンへの変更です。



マンツーマンからゾーンに変更して
サイドにボールが渡ったときは
ボールサイドに中盤の三人がサイドに
スライドするというシステムを使います。


スムーズに戦術を変更していたので
事前に用意していたものだと感じました。



これにより、再び相手を押さえ
込みました。



41分に決定機を作られたシーン以外は
崩されることなく、主導権は
パリ・サンジェルマンに握らせつつも
実際には、ボールを持たせていたという
印象を受ける前半でした。



一方の攻撃では、中盤のカゼミロとコバチッチが
攻撃参加しないため、
左サイドはマルセロ、アセンシオ、ロナウド
右サイドはカルバハル、ルカス・バスケツ、
ベンゼマで連携して相手の守備システムを
崩していました。


攻撃の際に目立っていたのが、
狭いスペースから広いスペースへの展開
カウンターからのサイド攻撃です。


前述の通り、守備に重きを置くため
前線に選手が上がって来ません。


そうなると、いくらサイドでボールを
回していても相手に数的同数、または
有利な状況で守備をされるため
どうしても
ゴール前でのチャンスクリエイトが
できません。


なので、ボールが回らなくなったら
サイドチェンジをして相手の目線を変え
上手くボールを取られずに攻撃を
していました。



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2つ目のカウンターからのサイド攻撃は
パリ・サンジェルマンもレアルと同様に
両SBが攻撃の際に、高いポジションを
取るチームです。


なので、トラジションの際には
SBの裏が空きます。


パリ・サンジェルマンだと
ダニエル・アウベスの裏のスペースが
よく空きます。


自陣でボールを奪ったマルセロが
ダニエル・アウベスの裏のスペースに
走り込んだベンゼマにロングパスを出して
決定機を作ったシーンも見られました。




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この時間帯には、中盤の2人が
高いポジションを取っていたことも、

カウンターとなると、自陣への戻りが
遅くなり、人が足りない状況ができて
ピンチを招いたという結果に繋がっている
ため、カウンターが効果的になる要因でも
ありました。



パリ・サンジェルマンの中盤の狙い・前半の狙い


2legは、チアゴ・モッタが復帰したため
1legよりも中盤が攻守のバランスが
取れるようになります。


また、レアルマドリードの中盤が
通常であれば控えである選手を
起用しているため、クオリティの低下は
免れません。


その弱点を突く形で
前半は中盤を中心にボールを回しながら
適材適所で縦パスを入れて、前線で
チャンスを作るというのが、

パリ・サンジェルマンの狙いでした。



しかし、その作戦が読まれたのかのように
レアルマドリードには、中盤を押さえられます。


困ったエメリ監督は
中盤のラビオとヴェッラッティ
より前のポジションでプレーさせて

バイタルエリア付近で数的優位を作ります。


その狙いが前半42分にハマり
決定機を演出します。



レアルマドリードの陣内でボールを
回しながらもパスミスをしてアセンシオに
ボールが渡り、トラップが長くなった
ところをヴェッラッティが奪った
ところから始まります。


ヴェッラッティはそのまま
ダニエル・アウベスにボールを預けて
体を右サイドでフリーのディ・マリア
向けたままで(レアルの守備陣をディ・マリアに集中させる)、
フリーのヴェッラッティにパスを出します。





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レアルのほとんどのディフェンダー
ディ・マリアに目線を向けていたため
慌てて皆が揃って、レアルの
ディフェンダーヴェッラッティ
寄せます。



そして右サイドでフリーになっていた
ディ・マリアにパスを出します。




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ディ・マリアドリブル突破
レアルのペナルティエリアの深い位置まで
侵入してクロスを上げます。



ヴァランがパスコースを切りながら
ディ・マリアとの間合いを詰めていたため
ナバスはパスコースを楽に予測することが
でき、前に出てボールを押さえます。



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ディ・マリアにボールが入った瞬間
カバーニがポジションを取り直し、より
ゴールに直結するポジショニングを
しましたが、大外のムバッペへのマークが
甘かったので、
ファーにクロスを
上げられていたら得点に繋がったかも
しれません。


一方の守備はというと
プレスをかける前線と中盤、
そして最終ラインとの距離が前半から
開けていて、常に間延び状態が続いて
いました。


豊富な運動量で自陣まで守備に戻る
カバーニでさえ守備をしていなかったので
守備のタスクを背をわせるよりも
攻撃に専念させるエメリの狙いが
伺えます。




前半は、狙いがハマったレアルと
読まれてしまったパリ・サンジェルマン
構図の中、先にエメリが仕掛け、チャンスを
作り、ジダンが後を追う形で、守備戦術を
変えてパリ・サンジェルマンの猛攻を
押さえたというのが、ざっくりとした
前半の内容です。




次回は後半の分析を 
あげたいと思います。

ヴェッラッティ退場による守備の弱体化
ロナウドの勝負強さの秘訣などを
書いていけたらなと思います。




今日も読んで頂きありがとうございます。

このブログが皆様のお役に立てれば幸いです。

ではまた!

衝撃のボイコット。~ドイツでも抗えない国際競争の波~

あなたは、ドルトムントの熱狂的な
サポーターをご存知だろうか?



ドルトムントのホームスタジアムである
ジグナル・イドゥナ・パルク
約8万人ものサポーターを収容でき、
特にホーム側のゴール裏は、2万2千人を
収容し、サポーターの熱い声援で
相手チームをも驚異を与える。




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14/15シーズンには
欧州一の観客動員数を誇るチームとして
知られ、益々ファンが増加している。



また、ドルトムントの南スタンドは
『黄色い壁』と呼ばれ、ヨーロッパの
どのチームよりも騒がしく、スタジアムを
揺るがすほどの大歓声で選手達を
鼓舞します。



そんなドルトムント
ドイツ全土を震撼させる事件が
起こります。



「心苦しい決断だが、納得したうえでアウクスブルク戦から距離を置く」


今年の2月26日月曜日に行われた
ドルトムントアウグスブルクの試合では
多くのサポーターが自主的に応援を
ボイコットしました。



普段であれば、8万人ものファンが
ジグナル・イドゥナ・パルクに駆けつけ
スタジアムを満杯にするのだが、
この日は通常の3万人も下回る5万4300人
しか来場しませんでした。




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この試合では
膝の十字靭帯の断裂からロイスが
復帰したため
、本来であらば
サポーター全員で復帰を喜び、
温かく見守りたかったのだと思います。



しかし、ある理由でロイスの復活の祝福も
出来ませんでした。






それはドイツ国内で増えている
月曜日開催の試合である。




ブンデスリーガには神聖な土曜日の15時半


ドイツでは、土曜日の午後は
特別な時間です。


数十万人ものサポーターがスタジアムに
足を運び、自分の好きなチームを
応援します。



テレビやラジオ、スマートフォンなどでも
多くのファンがブンデスリーガ
釘付けになります。



そんな土曜の15時半が失われつつ
あるのだ。



土曜の15時半の試合は、半数以下の
4試合しか行われず
、その代わり月曜の夜に
1試合増えたのです。


ドイツの新聞である"WAZ"が
ブンデスリーガは、ファンたちを呆れさせ、サッカー離れが始まらないよう気をつけなければならない』と警告しました。



しかし、もう手遅れなのである。
前述のようにドルトムントのサポーターが
ボイコットをしたような事件が
益々増えることは周知の事実なのです。


ドイツサッカー連盟は
『木曜日にELに出場するチームへの配慮』
説明していますが、実際には
『サポーターに対する配慮』の欠如なのです。



もちろん、チャンピオンズリーグ
グループステージを3位で予選敗退となり
ELを主戦場にしているドルトムント
試合日程を考慮した上での
月曜開催であります。




しかし、サポーターにとっての月曜日は
平日であり、夜となると次の日も
仕事であるため、当然帰りが遅くなり
試合を観に行けないことが増えるのです。



これは今に始まったことではなく
観客動員数が9季ぶりに1300万人を下回った
昨シーズンの数字にもファンの失望が
現れています。



そんなファンの期待を裏切る
ドイツサッカー連盟は
一体何が目的なのでしょうか?




ヨーロッパで熾烈な国際競争


最近話題になった『ランチタイムクラシコ』、
プレミアリーグのランチタイムキックオフは
アジア市場の開拓を目的とし
アジアのゴールデンタイムに合わせて
キックオフの時間を決めたものです。



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特にプレミアリーグのTV放映権料だけで
言うと、昨シーズンの最下位である
サンダーランドの放映権収入が
ブンデスリーガ首位のバイエルンの数字を
越えているのです。



なので放映権収入という面でも
他のヨーロッパの国々に置いて
いかれないためにも非常に重要なのです。


なのでブンデスリーガ
土曜の15時半という時間に拘らずに
放映権収入の増加を狙い、各国の放送局のニーズに合わせるという意味で
月曜夜開催の試合を組んでいるのです。





しかし、ランチタイムクラシコ
クラシコのこの最悪なキックオフ時間は、我々から中国の人々へのクリスマスプレゼントだと言える。彼らだけのためのキックオフ時間なんだ』
スペイン人記者の皮肉が込められた投稿。


プレミアリーグでも移籍市場の常識を
破壊する『爆買い』
『ランチタイムキックオフ』に、
地元ファンが冷ややかな目をしている。



このような批判的なファンの率直な意見は
どの国でも、同じなのである。


また、ブンデスリーガだけで言えば
若者のブンデスリーガ離れが
深刻だそうだ。


若い人たちはスター選手よりも
マチュアの試合を見ることを好む。


自分もピッチに立っているような
身近さや、その一部として共有できる
経験のほうが大切なのだ。



ブンデスリーガを含む5大リーグに
言えることだが
『大切にすべきは、目先の利益なのか?それともクラブを支えてくれるファンなのか?』


オイルマネーによる
『欧州サッカーバブル』がいつ崩壊するのか
わからないのだから…




今日も読んで頂きありがとうございます。

このブログが皆様にとって、役に立てば
幸いです。

ではまた!

10分毎のポジショニングの変化から考察する『レアルマドリードの対応力』~リーガ27節/レアルマドリードvsヘタフェ~《後半》

今回は、昨日上げた記事の続きになります。


読んでいない方は下記のリンクから
お願いします。




早速試合分析に、移らせていただきます。


後半0分~15分(60分)

後半開始早々、ヘタフェのレミ
2枚目のイエローカードをもらい
退場になります。


ヘタフェは1人少なくなり
フォーメーションが[4-4-1]になります。


この変化がヘタフェの強固な守備のシステムが
弱体化するきっかけになったのです。



ポイントは2点あります。


1つは前半レアルマドリードを苦しめた
2トップによるプレスができなくなることです。


この退場によりファジルが1列下がらざるを
得なくなり、前半ハマっていた2トップでの
プレスができなくなり、
前半よりも更に
レアルマドリードに攻撃のチャンスを
作られるようになります。


2つ目のポイントは
フォーメーションの変化による
中盤のシステムの崩壊。



[4-4-1]への変更を余儀なくされた
ヘタフェですが前半は、2トップのプレスにより
レアルマドリードのCBのミスを誘い、
それによりレアルマドリードの中盤の選手や
SBが降りてきざるを得なくなります。


それは、ヘタフェの中盤での数的有利を
意味し、それにより前半途中まで上手く
守備ができていました。




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(ヘタフェの前半の上手くいっていた守備)



しかし、後半になると
このレミの退場により、2トップから1トップに
なり、前線からの守備がハマらなくなります。



それによりレアルマドリードの最終ラインと
中盤の選手へのプレッシャーがなくなります。



プレッシャーがなくなると
どういった影響が出るかというと
中盤でのヘタフェの優位性がなくなります。



レアルマドリードの選手が最終ラインに降りずに
中盤でポジショニング出来るので、結果的には
レアルのSBが高い位置をとることもあり
5:4の数的優位な状況が生まれます。



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また1列下がったファジルの守備が弱いのと
カルバハルとジョレンテを両方見なければならない
ならないこともあり、ヘタフェの中盤の左サイドが
最終ラインと共に弱点となります。



これらの変化によりレアルマドリードの攻撃の
勢いが更に増し、ヘタフェの左サイドを中心に
攻め、ボールポゼッションも70%近い数字を
記録しました。


ヘタフェもモリー柴崎を交代で入れましたが、
チャンスの数は増えるものの流れを変えることは
できませんでした。

60分~70分

ヘタフェが意地を見せ、1点返します。


レアルマドリードの左サイドでボールを
取られ、カウンターを潰そうと
セルヒオ・ラモスモリーナを前線で
止めようとしますが、裏をあっさりと
取られ、抜かれてしまいます。



モリーナのケアをナチョがしましたが
守備が軽くなってしまい突破を許して
結局ペナルティエリアで、ナチョが
モリーナを倒して
、PKを与えて
しまいました。


70分~80分

この時間帯からレアルマドリードの左サイド
(ヘタフェの右サイド)での攻撃
が目立つようになります。


その中心には、ケガから復帰して
64分から途中出場したマルセロがいました。



テオ・エルナンデスも奮闘していましたが
左サイドでの攻撃参加のタイミングが合わず
周囲との連携という部分で課題がありました。



それに対してマルセロは個での突破もでき
連携面でも素晴らしい働きをします。



そして特にマルセロが入って変化したことは
左サイドにそれほど人数をかけなくても
攻撃の組み立てが出来るようになることです。



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それはマルセロが入ることで
左サイドでの攻撃参加のタイミングや個人での
打開力が飛躍し、前線の選手が左サイドに流れる
必要がなくなり、中央での脅威が増すことを
意味するのです。




77分の得点シーンでも左サイドにはマルセロと
攻撃参加していたセルヒオ・ラモスしかいない中での
クロスからの得点
でもありました。




前半ではロナウドベンゼマ、イスコが
左サイドに流れていたので、中央に人が
いませんでした。


しかし、下の図の得点シーンのポジショニングを
見ればわかる通り、ペナルティエリアには
5人います。



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しかも、ファーにベイルとイスコがフリーに
なっておりヘタフェのペナルティエリア内の
選手が3人のみで数的有利な状況を
作っていることもあるため
前半との違いが顕著に現れました。




得点自体は、ヘタフェのジュネが1人で
ロナウドとカゼミロを見なければならず
ロナウドに死角を取られ
得点を決められました。


80分~90分


78分にアセンシオとコバチッチを入れ
[4-3-3]から[4-4-2]に変更してセーフティに
ボールを回しだします。


85分にヘタフェはパチェコを入れて
なんとか点を奪おうと試みますが、
上手くいかず試合終了。





私も日本人の1人として柴崎には、
11対11の状況下でクラブワールドカップで
見せたようなプレーをして欲しかったなと
思いました。



柴崎には、スペインの地で奮闘して
Wカップのメンバーに選ばれてほしい
ですね。

(ハリルの好みの選手ではないですけど…笑)






話は逸れましたが
レアルマドリードパリ・サンジェルマンとの
2legに向け、いい調整ができたと思います。


しかし
「ルカとトニを観察する時間は2日ある。何をしようとしているのか、どんなプランがあるのかを君たちに伝えることはできないよ。私が望んでいるのは、全員で試合に迎えることだ。月曜日には全員が練習に参加できることを祈っているが、どうなるかはわからないね」

ジダン監督が語っているように
モドリッチとクロースのケガの状態が
懸念材料です。


相手もネイマールが欠場とはいえ
今日のような中盤の状況では大量失点も
免れないの相手なので
モドリッチ
クロースには是非とも復帰して欲しい
ところです。





今日も読んで頂きありがとうございます。

このブログが、皆様のお役に立てれば幸いです。

ではまた!