ポゼッションとカウンターを見分けるコツは『ポジティブトランジション』~攻撃のタイプの違い~
ポゼッションだのカウンターだの言われても
初心者にとっては、理解できないだろう。
サッカーを観る上では
この2つのキーワードは、攻撃の際によく使われます。
日本で面白い、理想としているのは
ポゼッションというスタイルであり
カウンターは邪道もしくは面白くないものだと
思われています。
これからその両方の用語について
両スタイルの起源、スタイルのメリット、
デメリット、ポゼッション、カウンター
スタイルの具体的なチーム、見分け方を
中心に説明していきたいと思います。
ポゼッションサッカーの起源
世界的に有名なメッシを擁するスペインの
バルセロナのというチームのサッカーに
注目が集まったことでこのポゼッション
というワードが普及し出します。
バルセロナやスペイン代表のサッカーの
スタイルであるポゼッションサッカーを
言い換えた『ティキタカ』という言葉も
生まれました。
基本的にはボール支配率という
1試合の中での味方がボールを持っている
時間の割合を高めようと、ショートパスの
本数を増やし、ボールを出来る限り
持ち続けることをポゼッションサッカーと
言います。
カウンターサッカーの起源
一方のカウンターサッカーは
守備的な戦い方とメンタリティーが
象徴的なイタリアで生まれます。
どのチームというよりはイタリア全土で
そういったスタイルのサッカーの風潮が
あり、現地ではカウンターサッカーを
『カテナッチョ』と呼ばれています。
日本では、カウンターサッカーを
堅守速攻とも呼んでいます。
カウンターサッカーとは
わざと相手にボールを持たせて
自陣に多くの相手をおびき寄せて
ボールを奪った瞬間、前のめりになった
相手の隙をつくものです。
ポゼッションサッカーのメリット・デメリット
ポゼッションサッカーのメリット
『ボールを持ち続けることで、守備の時間を減らせること』です。
つまり、攻撃が最大の守備ということです。
もう一つのメリットは
パスを回してボールを持ち続ける訳ですから
相手は当然ストレスが溜まります。
その際に相手選手がボールを取ろうと
むやみにプレスをかけると、
守備のシステムが崩れます。
その守備の穴を狙いゴールに迫ることも
ポゼッションサッカーにはできるのです。
メリットがある一方デメリットも存在します。
強いチームと弱いチームが試合する際に
よくあるのですが、弱いチームは守備の際に
フィールドプレイヤーが11人とも自陣に
下がり守備をします。
そうすると攻撃側からすれば
パスを出せるスペースが少ないため
ゴールに繋がるパスが出しづらくなり
攻撃が停滞します。
その際に、解説者がよく言うのが
『Uの字のパスを出している』という言葉です。
その言葉の通り、守備側の選手は
中央をがっちり固めているため、
サイドのエリアでしか攻撃側の選手は
ボールを回せないということです。
そしてポゼッションサッカーと
カウンターサッカーは、面白いことに
対になる要素が含まれています。
ポゼッションサッカーというのは
パスを繋いでボールの持っている時間を
長くするために、多くの選手がパスを
もらいに来たりして、関与しなくてはなりません。
攻撃的ではありますが、都合よくボールを
回し、人数をかけるため、当然どこかに穴が
できます。
その穴をボールを取った瞬間に狙うのが
カウンターサッカーのスタイルです。
特にスペインのアトレティコマドリードの
ようなカウンターサッカーの上手いチームが
相手だとポゼッションサッカーをしていても
『カウンターで崩されてしまうのではないか』
という不安が攻撃側によぎり、上手く攻撃が
できない場合も生まれます。
なので、ボールを奪われた後に
どう対応して、空いたスペースを誰が
カバーするのかというリスク管理も大切になります。
カウンターサッカーのメリット・デメリット
カウンターサッカーのメリットは
相手が攻から守に切り替わる時間を与えずに
攻めきることです。
カウンター時には相手陣内にいる選手が
少なく、自分のチームの選手がすぐに前線に
走り出せば、数的優位を作れる状況に
あります。
そのためポゼッションサッカーよりも
得点が生まれやすくなります。
それは、ポゼッションサッカーが
守備の負担を減らしながら、相手を崩して
得点を奪うのに対して、
カウンターサッカーは相手をおびき寄せ
相手の崩れた状態から一気に攻めるという
違いがあるためです。
SBが攻撃参加をする現代サッカーでは
このカウンターがより効き目のある戦術で
あることは間違いないです。
カウンターサッカーのデメリットとしては
ボールを奪えないと体力の消耗が激しくなる
という点です。
攻撃の際は自分達のペースで
ボールを回しているので体力の消費は
そこまで大きくはありません。
しかし守備の時間が多くなると
相手に振り回されているということにも
繋がり、相手のペースに合わせないと
いけないため体力の消耗が激しいのです。
そのため、カウンターサッカーのチームが
守備に追われる時間が多くなると
攻撃にも体力が使えなくなるという弊害も
出てきます。
なので、ボールをいつどこで取るかという
明確な決まり事を作り、チーム全体で
実行することがカウンターサッカーを
する上では大切なのです。
ポゼッション、カウンターの具体的なチーム
ポゼッションサッカーをしている、
Jリーグのチームの代表格は、
やはり川崎フロンターレでしょう。
前任の監督であり、現在名古屋グランパスの
監督である風間八宏さんが作り上げた
フロンターレのサッカーは、戦術という
型にはめたものではなく、選手同士の
アイディアや連携によるポゼッション
サッカーという側面が強く、非常に攻撃的
であり、魅力的なサッカーです。
一方のカウンターサッカーで有名な
Jリーグのクラブと言えば、去年
ルヴァンカップと天皇杯で二冠を果たしたセレッソ大阪です。
連動した守備で相手を追い込み
中盤のMF山口蛍が中心になって
ボールを奪い、長いパスが出ても
ボールを上手く受けてカウンターを得点に
結びつける前線の柿谷や杉本が得点や
アシストをするというチームスタイルです。
ポゼッション、カウンターの見分け方
ずばり、タイトルにもある通り
注目すべきは『トランジション』です。
トランジションとは日本語で
移り変わり、移行という意味であり
サッカーでは攻から守、守から攻の際に
トランジションという言葉を使います。
その意味でポジティブトランジションとは
守から攻の切り替えであり
ネガティブトランジションとは
攻から守の切り替えです。
そのトランジション、つまりボールを
奪われた際に注目すればいいのです。
その際に注目すべきポイントが
一点あります。
それはすぐにボールを前に蹴るのか
それとも味方にパスをして繋ぐのかという
ことです。
言い換えると、ボールを奪った後の
ファーストパスで縦にパスをするのか、
横にパスをするのかということでも
あるのです。
すぐにボールを前(縦)に蹴るということは
相手の乱れた守備システムの隙を突くために
少しでも早く攻めたいという気持ちの
表れであり、これがカウンターサッカーです。(図の1)
一方味方(横)にパスを繋ぐというのは
攻め急ぐよりも確実に繋ぎたいという表れで
これがポゼッションサッカーです。
(図の2)
これさえ見れれば
そのチームの基本的な攻撃の戦術が
理解でき、よりサッカーを観ることが
面白くなることでしょう。
今日も読んで頂き、ありがとうございます。
このブログが皆様のお役に立てれば、幸いです。
ではまた!